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番外編 彼とお姉ちゃんと地竜さん
失言に気付き、はっとして口を押さえる彼。
「自分から墓穴を掘ってどうするんですか?」
ため息まじりの橘さんの声が聞こえてきた。
「地竜さん、お腹が冷えると大変なので、タオルケットを掛けますね。もし寒かったら千里か遥琉に言ってください」
「なかなか気がきくな。さすが橘だ」
「褒めても何も出ませんよ。相変わらず可愛げがないと言いたければどうぞ」
「言ったら飯抜き、出入り禁止になるから言わない」
「分かっているならいいです」
「おっかねな~~」
ぶつぶつと独り言を漏らす地竜さん。
橘さんは地獄耳だ。
「何か言いました?」
「なんも言ってません」
地竜さんも彼と同じで橘さんが相手だとどうも調子が狂うみたいだった。
ププッとお姉ちゃんが笑いだした。
「なんかいいなぁ~~毎日楽しそうで」
「五月蝿いだけだ」
「どんなに切羽詰まった状況でも、圧倒的にこっちが不利な状況でも、微塵も感じさせない遥琉お兄ちゃんはやっぱりすごいわ。アタシなんか足元にも及ばないもの。もっと頑張らなきゃ」
「頑張る必要はない。千里は千里だろう?俺はただ大切な家族と仲間の笑顔を守りたいだけだ。笑っていればどうにかなる」
惚れ惚れするくらいかっこいい彼。目を開けて、ぽっと思わず見惚れていたら、
「俺のことが大好きなのは分かる。分かるが、地竜が焼きもちを妬いて、暴れるぞ。そうなると子どもたちが起きてしまう」
困ったように苦笑いされてしまった。
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