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番外編 お祖父ちゃんはみんなの憧れの的

初夏の爽やかな朝。 海翔くんと鉄将くんが縁側にちょこんと座り目をキラキラと輝かせて庭を見ていた。視線の先にいるのは竹刀を一心不乱に振るお祖父ちゃんだった。 「おはよう。未知もずいぶんとまぁ早起きだな」 「おはようお祖父ちゃん。二日酔いしてない?」 「あんなの呑んだうちに入らないよ。心配してくれてありがとう。未知に心配される俺は果報者だな。まさに朝起きは三文の徳だな」 「二人とも下着姿で寒くないの?」 「ふく?」 きょとんとして下を見る二人。 「あれ本当だ。すっかり忘れていた」 「僕も」 頭を掻いて照れ笑いをする二人。 「二人とも一太くんや奏音くんのパパみたいに強くてかっこいい大人になりたいそうだ」 二人は着替えも忘れるほどお祖父ちゃんに見惚れて、夢中になり朝稽古の様子を見ていたみたいだった。 「竹刀を握ってみたいそうだ。使って悪いが着替えを持ってきてくれないか?」 「はい。分かりました」 部屋に行こうとしたら、 「姐さん、俺が行きますよ」 ヤスさんが柱の影からひょいと現れたからびっくりした。

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