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番外編 ぜったいにバイバイしない
「また会おうね」
「ぜったいにまた三人であそぼーぜ」
「だからぜったいにバイバイはしない」
奏音くんと海翔くんと鉄将くんは指切りげんまんをはじめた。
「冬休みに入ったら家の人に頼んで縣一家に連れてきてもらえ。奏音もいるし歓迎する」
「え?かなたくん、ねぎしかなたくんじゃなくなるの?」
「あぁ。奏音は、あがたかなたになるんだ。変わるのは名字だけだ。あとは何も変わらない。海翔、鉄将、これからも息子と仲良くしてくれ」
龍成さんがにっこりと微笑みながら二人の頭を撫でてくれた。
「かなたくんいいなぁ~~」
「何で?」
「だって、かなたくんのパパは、やさしいでしょう。強いでしょう。カッコいいでしょう。あと何だろう」
指を折りながら数える海翔くんと鉄将くん。
「力持ちだ。それとあたまをたたかない。なでなでしてくれる」
「あと、うそをつかない」
「褒めても何も出ないぞ」
照れたような笑いを浮かべる龍成さん。
「奏音、遅刻するぞ」
柚原さんの声が聞こえてきた。
「学校に行かなきゃ」
奏音くんはランドセルを背負うと、龍成さんたちに手を振り一太たちが待つ玄関へと走っていった。
「ほら、あなたたちもリュックサックを背負って。行くわよ」
お姉ちゃんが姿を現した。白いTシャツにお尻が見えるんじゃないか、そのくらい丈の短いショートパンツを履いていた。
海翔くんと鉄将くんは目のやり場に困りつつも、すらりと伸びるお姉ちゃんの足を凝視していた。
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