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番外編 お姉ちゃんを巡り、海翔くんと鉄将くん喧嘩をはじめる
「何?海堂だと?」
大山さんが声を張り上げ目をつり上げた。
「海翔、おじさんの名前は?」
肩をがしっと掴まれ、海翔くんが怖くてがたがたと震えだした。
「止せ。海翔が怯えているのが分からんか」
「大山、海翔から手を離せ」
お祖父ちゃんと甲崎さんが慌てて駆け寄った。
「千里お姉さん、一太くんのお母さん」
鉄将くんが床を指差した。
「怖くて小便を漏らしたか」
龍成さんが膝を立てて、海翔くんと同じ目の高さになると、顔を覗き込みにっこりと微笑んだ。
「怖かったな。もう大丈夫だ」
頭を撫でると、海翔くんが龍成さんにしがみつき、わぁ~~っと声を上げて泣き出した。その泣き声に橘さんと紫さんたちが飛んできた。
「譲治、ぼぉーっと突っ立ってないで雑巾を持ってきて」
鉄将くんが僕とお姉ちゃんの手を掴み、ぶるぶると震えながら海翔くんを心配そうに見ていた。
お風呂場に移動し、龍成さんに着替えを手伝ってもらい下着とズボンを脱いだ海翔くん。リュックサックの中にはズボンの替えが入っていなかった。
「サイズは奏音と同じか。よし、奏音のズボンを履いていけ。奏音には俺から言っておく」
「ありがとう、かなたくんパパ」
「いいってことよ」
「僕もおしっこをもらせばよかった。かいと、いいなぁ~~」
「じゃあ、鉄将もズボンを交換していったら?」
「ぼく、千里お姉さんにこうかんしてもらいたい」
「いいわよ」
「やったーー!」
「いいなぁ~~」
「かいとには、かなたくんパパがいるだろう。千里お姉さんはわたさないよ」
あっかんべーをする鉄将くん。
下着も履かず、お姉ちゃんを巡り喧嘩がはじまってしまった。
新幹線に乗り遅れなければいいんだけど。困った二人だ。
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