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番外編 悪戯されても起きない地竜さん

地竜さんは陽葵と一緒に熟睡中だ。長距離移動の疲れが出たのか、太惺と心望に悪戯されてもまったく起きる気配がなかった。 「上手に丸が書けたな。でもな、太惺。顔には書いちゃ駄目だぞ。あと、クレヨンは食べるものじゃない。パパにちょうだい」 彼が手を差し出すとぶすっとし口をへの字に曲げながら赤いクレヨンを渡した。 「よし、偉いな」 彼が頭を撫でていると、今度は心望が障子をビリビリと破りはじめた。それを見た太惺。目をキラキラと輝かせて心望のところに行こうとしたけど、 「たいくん、めっけ」 かくれんぼうでもしていたのかな?七海さんに見付かってしまった。 「口が真っ赤だ。洗ってこようか。地竜が起きたら顔にいたずら書きしてごめんなさいって謝ろう」 クスクスと笑いながら太惺を抱き上げると洗面所へ連れていってくれた。 「心望、ビリビリしちゃ駄目だよ。ひまちゃんと地竜さんがねんねしているから、ママとお散歩してこようか?」 目をうるうるさせる心望。 「ママ、怒ってないよ。だから泣かなくていいよ」 心望を抱き上げてあやしながら縁側へと出た。 「姐さん危ない!譲治、止まれ!前見ろ!」 鍋山さんの慌てた声にギクッとすると、床を雑巾がけしていた譲治さんがものすごい勢いで突っ込んできた。

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