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番外編 愛するひとを守るために。地竜さんの意外な過去
「テレビを見ていたら速報が流れたの。新幹線車内で異臭騒ぎがあったみたいよ。千里さん大丈夫かしら?」
紫さんが心配そうに眉を寄せた。
「甲崎と大山がいるんだ。何かあれば連絡を寄越すさ。そういえば覃の姿を見ていな。鍋山、何か聞いてるか?」
「野暮用があると、八時前にふらりと出掛けていきました」
「相変わらず風来坊なヤツだな」
度会さんがやれやれとため息をついた。
お姉ちゃんに三回メールを送信したけど、待てど暮らせど、いつまで経っても返信はなかった。
「千里のことだ。心配しなくてもそのうち電話が掛かってくるさ」
「そうよ未知さん」
スマホと睨めっこしていたら、度会さんと紫さんにくすくすと笑われてしまった。
彼と龍成さんは組事務所で瀧田さんのことを調べている。
「橘さん、あ、あの……」
スマホを握り締め、部屋をそっと覗いた。パソコンの前に座り、誰かと話していた。
「お仕事中ですよね。出直してきます」
ーちょっと待って!未知、行かないで!ー
光希さんの声が聞こえてきたからどきっとした。
ー千里は無事だよ。異臭騒ぎは新白河駅を過ぎてから発生した。千里は新白河駅で子供たちを連れてひそかに下車し、迎えに来ていた車で海翔の祖父母のもとに向かったー
「もしかして鷲崎さんがお姉ちゃんたちを迎えに?」
ーそう。よく分かったね。覃と宋が真っ先に異変を感じたみたいー
「え?覃さんと宋さん」
思いがけないことに思わず息を飲んだ。
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