2623 / 3283

番外編 過信は禁物

「遥琉と地竜さんの嫌な予感の的中率はほぼ100%。間違いなく何か起きる。ですから地竜さんは覃さんと宋さんに変装して千里と同じ車両に乗るように昨日のうちに指示をしたんです。カップルを装えば不審がられません」 「宋さんの女装姿すごく可愛いもの。絶対に怪しまれない」 ーそんなに可愛いの?ー 「写真を送りますか?」 ーお願いしますー 「分かりました。覃さんも宋さんも写真嫌いでなかなか撮らせてくれなくて」 ー二人とも死神の幹部だ。素顔を晒せば、その分命を狙われる。橘、悪いが右に避けてくれないか?ー 「どうしてですか?」 ーいちいち言わないと駄目か。こっちからだと未知の手しか見えないだよー 「まことに言いにくいのですが、それ未知さんの手じゃありませんよ」 ーは?じゃあ誰の手だー 「俺だ」 地竜さんが手を上げてひらひらと左右に振った。 僕の膝の上を虎視眈々と狙い、隙あれば枕代わりにごろんと横になる。 斉木先生から二、三日は安静にしているようにと言われたはずなのに。ぜんぜん守っていない。俺は不死身だ。自分を過信して悪化しなければいいけど。 ー龍から聞いた。ぎっくり腰になったんだって?俺はてっきり未知の寝込みを襲い、手痛いしっぺ返しを食らったかと思ったぞー 「俺の未知はそんなことはしない」 ー過信は禁物だ。もう若くないんだぞー 「分かってるよ。卯月と同じことを言うな」 むすっとする地竜さん。 彼や一太みたいにぶすくれる地竜さん、久し振りに見たかも。

ともだちにシェアしよう!