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番外編 男泣き

ー未知、久し振りだなー 遼成さんが嬉しそうな笑顔を見せてくれた。 「若い衆にはニヤニヤするな。シャキッとしろ!デレデレするな!と口酸っぱく言っているのに……形無しですね」 ーうるさいぞ橘。俺は未知と喋っているんだー 決まりが悪そうに恥ずかしそうな顔をすると、 ー未知の前では素の俺でいるって決めたんだ。光希は誰かさんと違い心が広いから焼きもちを妬かないー 隣に座る光希さんの手をそっと握った。 ー未知限定だよ。遼さん、真ん中に座らないで。未知が見えないー ー真ん中に座っていないだろう。光希こそ、少し右にずれてくれー ーなんで俺が譲らないといけないの?ー 「光希さんもりょうお兄ちゃんも喧嘩しないでください」 二人の動きがぴたりと止まり、驚いたように目を見張った。 無意識のうちに何か変なことを言っちゃったかな?ひやひやしていたから、りょうお兄ちゃんが両手で顔を覆いテーブルに突っ伏した。ゴツンと鈍い音がこっちまで聞こえてきたから思わず身を乗り出した。 ーどこかよそよそしかったからあれ一回きりかなって。もう二度と呼んでもらえないのかなって心配ばかりしていたんだ。だから、未知にお兄ちゃんって呼んでもらえたのがすごく嬉しかったみたいー 光希さんの目にも涙が浮かんでいた。

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