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番外編 非常事態
「鬼の目にも涙か……」
何気に呟いた一人言に、
「地竜、兄貴とマイハニーに喧嘩を売るとはな。いい度胸をしているな」
ぽきぽきと指を鳴らしながら龍成さんが姿を現した。
ー龍、いいだろうー
止せばいいのに。
りょうお兄ちゃんが光希さんの肩を抱き止せて、頬にチュッと軽くキスをし、これ見よがしにいちゃいちゃしはじめた。
「だから、さぁーー」
ドンとテーブルを強く叩く龍成さん。
「兄貴もいい加減にしろ!平和ボケしている場合じゃない。非常事態なんだぞ!」
じろりと睨み付けた。
「遼、龍の言う通りだ。光希といちゃつくのはあとにしろ!」
彼のドスのきいた声にりょうお兄ちゃんが慌てて姿勢をただすと、背筋をぴんと伸ばした。
「瀧田がひかりのみこの幹部だと判明した。東北地区 本部長の肩書きを持っていた。それと海翔のズボンからほんの微量だが薬物反応が出た。信者が手分けして海翔を探している。千里が留守なんだ。自分が何をやるべきか、遼、お前なら分かるよな?」
りょうお兄ちゃんは大きく頷くと、すくっと立ち上がった。
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