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番外編 お姉ちゃん大丈夫かな

「あ、千ちゃんだ!」 「お帰りなさい!」 真っ先にお姉ちゃんを見つけた一太と奏音くん。我先に駆け出して。華奢な足にぎゅーっと抱き付いた。 「ただいまアタシの可愛いボウヤたち」 お姉ちゃんが子どもたちの頭を撫でてくれた。 凪と碧人のことは心配ない。千里にそう伝えてくれ。チカが捜査でそっちに向かっている。海翔は祖父母と再会したあと、尿検査を受けた。結果は陽性だった。海翔は国井に、ドーナツの上にかかっている粉糖だと思い込み舐めたが、変な味をするからすぐに水を飲んだと証言している。瀧田の家にガサ入れが入ることになったと、あおお兄ちゃんからついさっき連絡が入ったばかりだ。 「 未知、ただいま~~」 お姉ちゃんにぎゅっと抱き締められた。 「千里!」 「だから怒らないでよ。アタシ、悪くないもの」 「怒ってません。弾よけも付けずに来るなんて。命がいくつあっても足りませんよ。良かった無事で……」 胸に手をあててほっとして胸を撫で下ろした。 「お兄ちゃん、もしかして泣いてる?」 「泣いていません」 橘さんがぷいっとそっぽを向いた。 「大山が弾よけになってくれたの。鷲崎の舎弟たちも付いてきてくれたから。心配してくれてありがとうお兄ちゃん」 「暑苦しいからいちいち抱き付かなくていいですよ」 「痩せ我慢して」 「してません」 「本当はアタシとハグしたい癖に」 「したくありません。夕御飯の用意があるので忙しいんです。あなたに構っている暇なんかありません」 「ちょっと待ってよお兄ちゃん」 台所へ戻る橘さんのあとをお姉ちゃんが慌てて追い掛けていった。

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