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番外編 お姉ちゃんとチカちゃん

「またサイレンの音だ」 「また?」 お姉ちゃんが彼に聞き返した。 「ここ一ヶ月くらい市内で建物を全焼する火災が三件も起きているんだ」 「火災発生のピークは三月よ」 チカちゃんがご飯を頬張りながら答えた。 「空気が乾燥する冬じゃなくて?」 「偏西風とか大陸から強い南風が吹きやすくて、広く空気が乾燥しているから火災が発生しやすいんだって。大山に聞いてみたら?大山の彼氏消防署勤務だから」 「チカ!」 廊下から大山さんの声が飛んで来たからびっくりした。 「余計なことを言わんでいい」 「なんで、なんで。みんな知ってることじゃん。堂々と付き合ったらいいのよ。別に悪いことをしている訳じゃないもの。同僚や誰かに迷惑を掛けているならまだしも、そうじゃないじゃん」 「そんな簡単な問題じゃない」 襖戸越しに意見を戦わせる二人。 「ここだけの話し。大山と彼氏を引き合わせたのは遥琉お兄ちゃんなんだよ」 お姉ちゃんに小声で囁かれてびっくりした。 「アタシのダブルお兄ちゃん、二人して縁結びの神様だからね」 「遥琉さん、大山さんと知り合いなんですか?」 「う~~んどうだろう?大山がそう言ってるだけかも知れないけど、ゴメンね。アタシも詳しいことまでは知らないの。でもこれだけははっきりと言えるわ。ダブルお兄ちゃん、二人して口は固いし秘密は守るから、相談事や悩み事を話しやすいのかも知れない」 お姉ちゃんがとり天を美味しそうに頬張った。

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