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番外編 お姉ちゃんとチカちゃん

「チカさんお帰りなさい」 「ただいま橘」 「石井さんからの差し入れですよ」 橘さんが鯉の刺身が盛られた皿をチカちゃんに渡した。 「石井さんはすっかりチカさんのファンになったみたいですね。チカさんが帰ってくると遥琉から聞いたのはわずか一時間前です。チカさんにせいのあるものを食べさせたいと山のような野菜と果物を置いていきましたよ」 「チカもモテモテじゃん」 「あら、やだ~~アタシったら罪な女~~」 チカちゃんとお姉ちゃんの甲高い声に、橘さんが思わず耳を手で塞いだ。 そこへ、 「未知さん、未知さん」 譲治さんが藍子さんと希実さんの写真を両手で抱き締め、息を切らしながら姿を現した。その表情は恐怖で青ざめていた。 「どうしたんですか?」 「写真がばたん、ばたんって突然倒れたんだ。風もないのに、誰も走り回っていないのに、変だよね、おかしいよね」 「譲治さんまずは落ち着こう」 背中にそっと手をおくと、 「やだ、やだ、やだ」 ぶんぶんと首を横に振った。 「未知の言う通りだよ。一緒にご飯を食べよう」 「そうだよ譲治。隣においで」 お姉ちゃんとチカちゃが譲治さんを手招きした。

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