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番外編 よくないことが起きる前触れ
譲治さんは二人の写真を抱き締めたままガタガタと震えていた。
「熱い、熱いって望実が言ってる。藍子さんが息が苦しいって言ってる。あれ覃は?覃はなんでいないの?一人は嫌だ。怖い」
パニックに陥る譲治さん。
「大丈夫よ。アタシたちがいるじゃない」
「そうよ譲治。あなたは一人じゃないわ」
お姉ちゃんとチカちゃんが譲治さんに寄り添い、頭をぽんぽんと撫でて、よしよしと宥めた。
「ご飯どころじゃありませんね」
橘さんが食卓用のフードカバーをおかずの上に置くと、ご飯と味噌汁と刺身を一旦下げた。
尋常じゃない譲治さんの怯えように、彼は幹部を急遽召集した。大山さんも同席して広間で会合をしている。
「千里、遥琉が呼んでますよ。あとは私とチカさんに任せてください」
「そうしたいのはやまやまなんだけど……」
譲治さんはお姉ちゃんに寄りかかったまま、いつの間にかすやすやと眠っていた。よく見ると手がお姉ちゃんのTシャツの中に入っていて、タグをぎゅっと握り締めていた。
譲治さんもタグを握ると不思議と落ち着くみたいだった。
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