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番外編遥琉さん、妹二人から熱烈歓迎される

「死ぬかと思った」 ふらふらと部屋に入ってくると布団に倒れ込んだ。 「遥琉さん大丈夫?」 「二人して馬鹿力なのに、一切手加減なしだ。地竜の二の舞になるかと思った」 「遥琉、布団にキスマークを付けたら橘に怒られるぞ」 地竜さんに言われた時はすでに遅かった。 「落ちにくいルージュだって言ってたんだ。すっかり忘れていた」 「そのくらいで怒るほど心は狭くはありませんよ」 橘さんが気配もなく現れたものだから、慌てて彼が飛び起きた。 「余計な仕事を増やしてしまいすまない」 「あら、ずいぶんと今夜は素直ですね」 「だって、それは、その………」 「たまにはしおらしい態度の遥琉を見るのも一興ですね」 橘さんがクスクスと笑った。 「何か用か?」 「用がなければ来てだめですか?」 「だめじゃない。いつでも大歓迎だ」 「海翔くんの祖父から電話です。育児放棄の疑いがあるから海翔くんをすぐ保護してくれと、警察に何度も頼んだのに門前払い。相手にもしてくれなかったのに、菱沼組の組長さんはすぐに動いてくれた。感謝してもしきれないと。警察より菱沼組の組長さんのほうが頼りになる。弱い者の味方だと」 大山さんがまだ家の中にいると知っていた橘さん。聞こえるようにわざと大きな声でそう言うと彼に子機を手渡した。

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