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番外編 遥琉さん、妹二人から熱烈歓迎される
頬っぺとおでこと鼻先にくっきりと残るキスマークを気にしながらも点滅している保留ボタンを押す彼。
「礼はいい。だから何も送ってくるなよ。その代わりと言って何だが海翔に旨いものと服を買ってやってくれ。海翔は着たきり雀だ」
海翔くんの祖父に言いたいこと、伝えたいことが山のようにあった彼だったけど、その半分も言えないまま電話が切れてしまった。
「ねぇ遥琉さん、鉄将くんのことなんだけど、無事にお母さんに再会出来たかな?お姉ちゃん何か言ってた?」
「蒼生が本部を代表し、鉄将を母親のもとに無事に送り届けた。椎根は鼻が利く。母親が生きていることにすぐに気付くだろう。母親は金輪際ヤクザと関わりたくない。だから匿ってもらう必要はないと蒼生の申し出を断った」
「懲り懲りなのは分かるが、椎根は金を回収するためなら手段は選ばない。例え息子でも使えるものはなんでも使う男だ。鉄将の行く末が心配だ。何かあってからでは手遅れになる」
「だから俺も千里も頭が痛いんだ。心に受けた傷は一生残る」
彼が深いため息をついた。
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