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番外編 生まれてはじめての長靴に大興奮の太惺と心望
服を引っ張る二人。
「服は脱がなくても大丈夫だよ。太惺、ちょっと待っててね。心望から先に着せるから」
太惺が頬っぺたをこれでもかと膨らませた。
「お願いだからあっぷしないで。誰か……」
まわりをキョロキョロと見回すと、
「呼んだ?」
七海さんがひょっこりと顔を出した。
「マー、呼んだ?」
洗濯かごを脇に抱えた紗智さんも駆け付けてくれた。
「どうしたのこれ?」
「信孝さんがわざわざ持ってきてくれたの」
「恐竜みたいだね」
紗智さんが太惺にレインスーツを手際よく着せてくれた。フードを被せると、
「萌娃《モン ウァ》!」
紗智さんが歓声をあげた。
太惺はかからしいのかフードを引っ張った。
「やっぱ嫌だよね。たいくん帽子嫌いだもんね。ごめんね。少しだけ我慢ね。七海さん撮るなら今だよ」
「分かった」
七海さんがスマホを慌てて構えた。
心望はフードを被らせても嫌がる素振りを見せず、お尻をふりふり、ノリノリで躍りだして。ご機嫌だった。
萌娃《モン ウァ》!ってかわいいって意味なのかな?紗智さんが何度も口にしていた。
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