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番外編 火の手

ガサ入れに入った直後、瀧田さん宅に隣接している本家から突然火の手が上がった。 ー小学校に向かって強い風が吹いているんだ。もくもくと黒い煙が上がり、まっすぐ校舎側に流れている。校内放送で体育館に避難するようにさっきアナウンスが流れたー 「遥琉さん、お姉ちゃんは?チカちゃんは?」 ー千里は隣にいる。チカは瀧田の家の中だ。瀧田が妙に大人しいんだー ーデカと目を合わせようとしないのよ。それに目が泳いでいるし、手わすらして、そわそわしているの。絶対何を隠しているわー 彼とお姉ちゃんはシフォンケーキ屋さんにいる。 「一太たち大丈夫かな?」 ー学校から緊急の連絡がさっき入った。 ここでしばらく待機して、何かあればすぐに駆け付けるから心配するな。太惺と心望は?陽葵は?ー 庭に目をやった。 テントの下で、子どもたちが森崎さんと七海さんと紗智さんに遊んでもらいキャキャと黄色い歓声をあげていた。 なかなかはじめの一歩が出なかった太惺。背中をそっと押したのはたまたま遊びに来た奈梛ちゃんだった。 ーそうか。元気で何より。子どもたちの声がこっちにも聞こえてきた。未知と子どもたちの声が聞けて安心したー 安堵したような声が受話器の向こう側から聞こえてきた。

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