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番外編 火の手
電話を切ろうとしたら、
ーガスが漏れているぞ!ー
ー一旦、退避だ!ー
怒声が飛び交い物々しい雰囲気なのが伝わってきた。
「遥琉さん、本当に大丈夫なの?」
見えない恐怖にがたがたと体が震え、スマホを思わずぎゅっと握り締めた。
ーサツと消防が俺らにも安全な場所に速やかに避難するように言ってきたー
ー未知、また電話するわねー
「遥琉さん、お姉ちゃん、一太たちとチカちゃんをどうか守って」
その時、ボン、ボンと何かが爆発する音が二回続けて聞こえてきた。
ー誰だボヤ程度だから避難する必要はないって言ったのはー
ー雨風が強いから、たいしたことはないと甘く見ていたんじゃないの?要心に越したことはないのにー
電波が悪いのかな?雑音が入ったあと、ブチッと一方的に切れてしまった。すぐに掛け直したけど、繋がらなかった。
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