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番外編 度会さんと奈梛ちゃん
「小学校の回りは道幅が狭く住宅が密集しているから、雨が降っているとはいえ延焼の恐れがある。何事もなければいいが……」
腕を前で組み、しかめ面で鈍色の雨雲を見上げる度会さん。
「じぃ~~じぃ~~!」
奈梛ちゃんが大きな声で度会さんを呼ぶと、満面の笑みを浮かべ、おいでおいでをした。
「こら、奈梛。じいちゃんじゃなくて、度会さんだ。何度言ったら分かるんだ」
鳥飼さんの額からは汗がだらだらと流れていた。
「鳥飼、注意せんでいい。奈梛にとったら俺はじいちゃんだ。奈梛はまだ小さい。分がるわげねぇ」
度会さんがゲラゲラと笑い出した。
譲治さんがさっとサンダルを下に置いた。
「気が利くようになったじゃないか」
度会さんに褒められた譲治さん。照れて真っ赤になっていた。
「たまには童心に帰り遊んでみるか」
度会さんは奈梛ちゃんにつきっきりで遊んでくれた。
「泥だらけにしたら洗濯が大変なんだぞ」
「洗うのは洗濯機だ。遊ぶのが奈梛の仕事みたなもんだろう?未知、使って悪いが、紫に風呂を沸かし、奈梛の着替えを準備するように頼んでくれ」
「分かりました」
立ち上がろとしたら、「未知、俺行く」譲治さんのほうが行動が早かった。
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