2661 / 3262

番外編 みんな無事で良かった

「龍成さん、遥琉さんとお姉ちゃんとチカちゃんは?」 心配で声が震えた。 「兄貴と千里は近隣住民と一緒に小学校の体育館に避難した。チカは刃物を振り回し暴れていた瀧田の女房を取り押さえようとしたが、襲われたときのことがフラッシュバックしたんだろう。過呼吸の発作を起こしかけて寸でのところで大山が助けた」 「良かった。彼もお姉ちゃんもチカちゃんも無事で………」 胸に手をあててほっとし撫で下ろした。でも龍成さんは険しい表情のままだった。 「詳しいことまでは分からないんだが、ガサ入れに入る寸前、妻子を置き去りにして瀧田が軽トラで逃げ出したみたいだ。深い緑色の軽トラだから目立つしすぐ分かると思うんだが、どこに行ったのか手がかりがまったく掴めないらしい。サツが手分けして瀧田を探している。度会さんに第一焼却所の場所を聞こうと思って、それで立ち寄ったんだ」 「そうか。それなら」 度会さんが古参の幹部の一人、降矢さんに龍成さんを案内するように指示をした。

ともだちにシェアしよう!