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番外編 いいって言うまで近づいちゃ駄目よ

「子どもたち、チカが大好きなのは分かるけど、危ないから、チカがいいって言うまで近付いちゃダメよ」 「何も仏間を閉鎖しなくてもいいだろう」 「だってここしかないじゃん」 チカちゃんはいつも通り明るく振る舞っていたけど、体調が悪いのか顔色があまり良くなかった。 「チカちゃん」声を掛けようとしたら、 「邪魔しないように待ってよう」 お姉ちゃんに肩をぽんぽんと軽く叩かれた。 「お腹が空いたってチビッ子たちが騒いでるし。お昼ごはんにしよう」 彼とお姉ちゃんがN総合病院から戻ってきたのはついさっきだ。何人かの児童が体調不良を訴えてN総合病院へ救急車で運ばれた。その中には奏音くんもいた。サイレンの音、苦手だもんね。昔のことがフラッシュバックして息が苦しくなったみたいだった。

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