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番外編 命のバトン
「俺のガキのときと一緒だな。やべぇな、俺まで涙が出てきた」
龍成さんがずずっと鼻を啜った。
「母親と死に別れ、父親にも見捨てられた俺を、遼おじちゃんと信孝おじちゃんが親代わりになって育ててくれたんだ。途中、信孝おじちゃんから一太くんパパへ、命のバトンが渡されたがな」
「え?」
奏音くんがぴたりと泣き止み、驚いたように龍成さんをじっと見つめた。
「一太くんパパはすげぇー男だ。俺の憧れの人であり尊敬する人だ。どんなに頑張っても一太くんパパみたくはなれないし、一生かかっても追い越すことはできない」
そこで言葉を一旦止めると優しく微笑みかけた。
「今までちゃんと言ってなかっただろう。なんで奏音を引き取ることにしたのか本当の理由を。兄貴や根岸さんから託された命を俺は全身全霊で守ると心に誓い、バトンを受け取った。奏音、俺は見ての通りちゃらんぽらんな男だけど、何があっても奏音を守るから。もう二度と寂しい想いはさせないから。りゅうパパと光希ママとりょうおじちゃんの息子になってくれるか?」
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