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番外編 つかの間の至福のひととき
「本当に信用できるのかと俺は甲崎に三度同じことを聞いた。徹底的に身辺調査をしたのかとも三度聞いた」
キョロキョロとあたりを見回す覃さん。
「未知、大変だ。靴下が一足行方不明だ」
「どういう訳か片方だけすぐなくなるの」
「そうなのか」
「そのうち出てくると思う」
覃さんは大量の洗濯物の山に怯むことなく畳むのを手伝ってくれた。
地竜さんは口をへの字に曲げ覃さんの膝枕で横になっていた。
彼は僕の膝の上で、つかの間の至福のひとときを満喫していた。
「覃は海翔の祖父に会ったのか?」
彼がおもむろに覃さんに聞くと、
「帽子を深く被っていたからな。よくは見えなかった。宋は胡散臭い、匂うって言って、写真を撮ろうとしていた」
覃さんに言われて宋さんが一緒じゃないことにようやく気付いた。
「覃さん、宋さんは?」
「千里に捕まって、質問責めにされている」
「もしかして宋を見捨てて逃げてきたとかじゃないよな?」
地竜さんが覃さんを鋭い視線で見上げた。
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