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番外編 黒孩子

「海翔の迎えには祖父母が来ていたんだろう?」 「なんでそれを聞く 」 しばらく過ぎてから大山さんの声が聞こえてきた。 「血痕らしきものが付いている。ふたりを探す手がかりにならないか?」 「前科と前歴があればな。調べてやっても構わんが、本当にいいのか?覃の指紋が世に出回ることになっても」 「親の顔を見たことがないから遺伝なのか、病気なのか知らないが俺には生まれつき髪も指紋もない。調べても無駄だ。俺は黒孩子《ヘイハイツ》だからな」 「地竜さん、ヘイハイツって?」 「今は撤廃されたが、昔は一人っ子政策が取られていた。それに反して生まれたために戸籍を持つことができない子供のことだよ。覃は指紋がないから犯罪を犯しても足が付かない。だからいいように李や紫竜に利用された」 「別にかわいそうだと思わなくていいぞ。俺にはボスがいるし、ジョーも、未知も、宋も。みんな構ってくれるからすごく楽しい。卯月はついでだ」 「俺はついでか、やっぱりな。そう来るとは思っていたよ。お前がジョーと未知のことを大事に思ってくれていたということを直接聞けて良かった」 「未知のファンクラブメンバーだからな。ジョーと同じくらい未知が大好きだ。だからかな、最近ボスに嫉妬してしまう自分がいるんだ。困った」 思わぬ本音が飛び出したものだから彼も地竜さんもどう返していいか戸惑っていた。

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