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番外編 黒孩子
「大山、ひとつヒントをくれてやる。ありがたく思え」
「借りを押し付けるのか?倍にして返せと言われても出来ないぞ」
「別に借りを押し付けるつもりはない。宋のマブダチがまゆこの熱狂的なファンでな。教団を出てまゆこが立ち上げた何とか教に入信し、瞬く間に幹部の椅子に座った。ほんの一瞬宋が見たタクシー運転手はマブダチに間違いないと証言している」
「ほんの一瞬見ただけなのになんで断言出来るんだ?」
「宋とマブダチは、フーとウーと同じだ」
「じゃあ聞くが名前は?顔や体の特徴は?」
「昔は红色《ホン スァ》。今は蓝色《ラン スァ》」
「な、なんだって?」
「赤色に髪を染めて昔は可愛かったんだぞ。それからずるずると、まるで坂道を転げ落ちるように悪党になっていた。今は青色に染めている」
「まゆこが好きな色か。なるほどな」
「大山、海翔を助けてくれ。俺は未知の笑った顔が堪らなく好きだ。悲しむ顔は見たくない」
地竜さんが膝から下りるのを待ってから覃さんが立ち上がり、戸を開けると大山さんと渡辺さんの甥っ子の渡辺さんが口を真一文字に結び、険しい表情で仁王立ちしていた。
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