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番外編 ちゅるちゅる食べたいのはみんな一緒
「亜優」
そこへ紗智さんが血相を変えて飛び込んできた。
「ナイスなタイミングで現れるじゃないの。お兄ちゃん」
「覃が怒りながら出ていったから、何かあったんじゃないかって心配になって」
「たいしたことはないの」
チカちゃんが説明すると、
「食べ物の恨みは怖いからねっていう意味はね」
紗智さんが亜優さんが分かるように説明すると、ワワワと亜優さんの顔が真っ青になった。
「僕もちゅるちゅる食べたいって」
太惺を抱っこした七海さんと、
「私もだって」
心望を抱っこした那和さんが一緒に現れた。
「ずいぶんとまぁ賑やかですね」
遅れて橘さんが割烹着姿で現れた。
「ひまちゃんはお兄ちゃんたちが面倒をみてますから安心してください。千里と遥琉と地竜さんが小腹がすいたと騒いでいます。未知さん、私も手伝いますよ」
「橘さんありがとうございます」
「ちゅるちゅる大好きだもんね。別腹だもんね」
寝かし付けてからものの十分で目が覚めた太惺と心望。親指をしゃぶりながら服にぎゅっとしがみついていた。涎で手がべたべたになっていた。
別れ際、海翔くんが覃さんに僕に渡してと折紙で作った小さな鶴を二つ渡した。そのことをチカちゃんにも言うべきか悩んでいたら、
「未知さん」
名前を呼ばれ鍋からゆで汁が溢れそうになっていることに気付き慌ててガスを止めた。
「橘さん、もしかしてあの鶴……」
子どもは見ていないようで大人をしっかり見ている。
海翔くんは繊細な子だから、相手の目や顔の動きを特によく見ている。だとしたら何かを察したのかも知れない。
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