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番外編 太惺と心望の溢れる笑顔と、幸せなひととき

「たいくん、ここちゃん、手掴みで食べちゃ駄目。バーバ、地竜、笑ってないで二人を見てて」 台所にいるはずの太惺と心望がいつの間にかテーブルの端に掴まり立ちしていた。二人の手が届かないテーブルの真ん中に素麺が盛られた皿を置いたつもりだけど、二人は爪先立ちになり懸命に手を伸ばし、自分たちのほうへ皿を手繰り寄せて、手で素麺をむんずと掴み口のなかに運んでいた。 紗智さんもまさか手が届くとは思ってもみなかったみたいで、びしょびしょになったテーブルの上を雑巾で拭きながら慌てて彼と地竜さんに助けを求めた。 「なんだパパに食べさせてくれるのか?嬉しいな」 彼が隣に座ると太惺は素麺を一掴みし、パパどうぞと差し出した。地竜さんが心望の隣に座ると、心望は太惺の真似をして素麺を一掴みすると地竜さんにどうぞと差し出した。 「遥琉さん、地竜さん」 洗っていないから二人の手はべたべたで。そう説明しようとしたら、 「未知、大丈夫だ。そんなに簡単には腹を壊さない」 「柔じゃないから心配するな」 「太惺と心望が食べさせてくれるんだ。こんな嬉しいことはない」 彼も地竜さんも気にする素振りを見せず嬉しそうに素麺を頬張った。 太惺と心望もにこにこしてて、すごく嬉しそうだった。

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