2687 / 3261
番外編 太惺と心望の溢れる笑顔と、幸せなひととき
「すごくおいしそうなにおいがする」
「いいなぁ~~」
「ハルちゃんもそう思った?ぼくもだよ。ぼくたちには早くねなさいって言ってるのに、大人はいいよね」
遥香と奏音くんの声が聞こえてきてドキッとして顔を上げると、二人は戸に半分隠れて、じぃーーっとこっちを見ていた。
「ママ、たいへん。ひまちゃん泣いてるよーー。もぅ、おなかがすいたのかな?ねむいだけかな?」
泣きじゃくる陽葵を一太があやしながら抱っこして連れてきてくれた。
「一太、ありがとう」
抱っこしようとしたら、
「おいで」
地竜さんのほうが早かった。
「だってさっき飲んだばかりだろう?オムツも交換したばかりだし。きっと眠いのかもな。未知は少し休んでいろ。次にいつひまちゃんに会えるか分からないんだ。寝かし付けくらい俺にさせてくれないか?お手上げ状態になったらプロに助けを求めるから」
地竜さんがにっこりと微笑むと、陽葵を寝室に連れて行ってくれた。
「地竜もすっかりパパの顔ね。昔はね、こ~~~んな風にいっつもしかめっ面して、こ~~んな風に気難しい顔をしていたのにね。変われば変わるものよね~~」
お姉ちゃんが地竜さんの顔真似をすると、遥香が笑いの壺に入ったみたいで、しばらくの間お腹を抱え笑い転げていた。
ともだちにシェアしよう!