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番外編 地竜さんの決意

海翔くんのことが心配でなかなか眠ることが出来なかった。 お姉ちゃんとチカちゃんを起こさないようにそぉーーっと布団を抜け出した。人の気配を感じて縁側を覗くと、 月明かりに照らされた庭を眺めている人影を見付けた。 「遥琉さん」 驚かせないように静かに声を掛けると、 「ごめん、俺だ」 その人影は彼じゃなくて地竜さんだったから驚いた。 「ごめんなさい。彼と同じ浴衣だったし、後ろ姿もそっくりだったから」 「これか?帰国したら卯月と同じ浴衣を着たいとダメ元で橘に相談したら、準備してくれていた。どうだろう未知。似合うか?」 「はい。すごく似合ってます」 「俺と卯月、どっちがカッコいい?」 「え?」 「意地悪な質問だったな」 くすりと地竜さんが苦笑いを浮かべた。 「きみと一緒にいると飽きないよ。楽しくて時間があっという間に過ぎてしまう。もっと一緒にいたい。そばにいて子どもたちの成長を見守りたい。そのためにも紫竜と決着をつけなければ」 地竜さんが星が煌々と瞬く空を見上げた。

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