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番外編 地竜さんの決意

「午前中、雨が降っていたから、まさかこんなにも綺麗な星空を拝めるとは思わなかった。好きな人とこうして手を繋いで一緒に見上げる空は格別だ」 感無量と言っていい表情でじっと見つめる地竜さん。 「生きているからこそ、こうして他愛もない話しも出来るし、未知を取り合って喧嘩も出来る。焼きもちも妬き放題だ。地竜、いつまでも待っているから帰ってこい。絶対に死ぬんじゃねぇぞ。いいか逃げるが勝ちだ」 「ありがとう。卯月に心配されるようじゃあ俺もおしまいだな」 そこでいったん言葉を止め自嘲する地竜さん。でもすぐに表情を引き締めると、 「折り入って頼みがある」 姿勢をただし、彼をじっと見つめた。 「地竜も、宋みたくバーバが好きだって告白する気か?」 「告白したいのはやまやまだが、止めておくよ。今回ばかりはかなり困難なミッションに挑むことになる。だから覃と宋を連れていく。二人が留守のあいだ、ジョーとワカに変な虫が付かないように睨みをきかせて欲しいんだ。ジョーもワカもあの通りなかなかの美人だからな、覃も宋も気が気がじゃない」 口をぽかんと開けて地竜さんの話しを聞いていた彼。 「卯月」 怪訝そうな顔をされ、まったく驚いていないというように頷いてみせた。

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