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番外編 紫竜は裸の王様
「分かった。でもいいのか?やたらと鼻のきくのがいる。正体がバレるぞ」
外から大山さんの声が聞こえてきた。
「表向きはN総合病院、非常勤医師 斉木優 。小児科医、斉木医師の又従兄弟ということになってる」
「なるほどな。分かった。甲崎に頼んでやる」
「恩に着る」
「いいってことよ。千ちゃんと一緒に帰るつもりでいたんだが、一足先に東京に戻ることになった。千ちゃんを守ることが出来なくなった。すまん」
「いいわよ。ここまでアタシについてきてくれただけでもありがたいことだもの。地竜と龍と仲良く三人で帰るわ」
「地竜、千ちゃんを頼んだ」
「分かった。任せておけ」
「いいか地竜、俺たちの千ちゃんに傷ひとつつけてみろ」
「許さないってだろう。いちいち言わなくてもそのくらい分かっている。大山、お前こそ気をつけて帰れよ」
「分かった」
大山さんは地竜さんと同じで神出鬼没だ。気配すら感じさせない。
「紫竜は裸の王様だ。教団と関わらないほうがいい。緑竜と白竜の忠告を無視した。ヤツの暴走を止められるのはもう誰もいない。腐りきった世の中を俺たちが変えるんだ、あの日の約束はなんだったんだ」
地竜さんが悔しさに唇を噛み締めて、拳を握り締めた。
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