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番外編 深夜の女子会

「ねぇ千里、教えられた名前と違うんだけど」 「嘘」 「甲崎は鈴木って言ってた。でも、これすずもとって書いてない?私の見間違えかな?」 「ううん、確かにそう書いてある」 折り紙を覗き込む二人。 「かぶちゃんに急いで連絡しなきゃ。起きてるかな?」 お姉ちゃんがスマホを耳にあてた。 「警察の目だけではなく、覃さんたちの目も欺くとは……なかなかの策士ですね」 橘さんが熱燗を運んできた。 「三時間毎にひまちゃんに起こされるので、本音を言うと未知さんを休ませてあげてほしいんですけれどね。こうして三姉妹が顔を合わせる機会はめったにありませんからね。今夜は特別ですよ」 「ありがとうお兄ちゃん」 「橘お兄ちゃんサンキュー」 「あのチカさん、私はあなたの兄ではありませんよ」 「固いことを言わないの。那和、紗智、今夜は呑むわよ~~」 「チカさん、明日もお仕事なんでしょう。支障のないようにしてくださいよ」 「分かってるって。熱燗はこれだけにして、あとはお茶にします」 布団の上にみんなでちょこんと座り深夜の酒盛りがはじまった。

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