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番外編 根岸さん、焼きもちを妬く

「海翔の祖父はS総合病院に通院している可能性がある。スーツはオーダースーツ。時計は海外の高級品。一足十五万もする革靴を履いているんだ。それなりの資産をもっているはすだ。千里、東京に戻ったら大至急確認してくれ」 「分かったわ」 「おやっさん、アタシは?」 「国井に顧客名簿を大至急調べるように頼んでくれないか?偽名の可能性もあるが、何か手がかりが掴めるかも知れない。それと筆跡鑑定もだ」 「了解」 「酒盛りの邪魔をして悪かったな。亜優、ウー、今夜はうんとマーに甘えていい日だからな」 伊澤さんが亜優さんとウーさんに話し掛けると、紗智さんがすぐに通訳してくれた。 「宋は人を見る目があるんだね。バーバと若林しか眼中にないと思っていた」 「実は俺も。見てないようでちゃんと見てるんだね。びっくり」 那和さんと紗智さんがそんな会話を交わしていると、ウーさんが二人の袖を掴みつんつんと引っ張った。 亜優さんはこの隙にと僕の膝の上にごろんと横になった。

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