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番外編 亜優はだんだん地竜に似てきてるね

早い者勝ちだよとでも言ってるのかな?してやったりとばかり、にんまり笑ったのち彼や地竜さんみたく寝たふりを決め込んだ。 「亜優はだんだんバーバに似てきてるね。実を言うとね地竜に文句のひとつでも言ってやろうかと思っていたのよ。いくら実の兄弟でも許容範囲を超えてまでハルお兄ちゃんに丸投げしていいって訳じゃないじゃん。地竜はいいわよ。あとは頼んだ、面倒をみてくれって置いていけばいいんだもの。大変なのは受け入れる側のほうでしょう?言葉も通じない、習慣だって違う、命を預かるんだもの、相当な覚悟と決意が必要だったはずよ」 「俺も実を言うと亜優と一緒に暮らすことは出来ない。諦めていた。亜優と再会出来ただけ奇跡みたいなものだから、一緒に暮らせなくても我慢しようって。だから、バーバとマーが亜優を自分たちの子どもとして引き取るって聞いたときは涙がたくさん出るくらい嬉しかった。那和も、ウーもだよね?」 那和さんが二回頷いた。 ウーさんもうんと大きく頷いた。 「亜優にね、ここにいていいのかって。幸せになってもいいのかって。バチが当たらないかって、何回も何回も聞かれた」 紗智さんはそこで言葉を止めると、鼻を啜りながら幸せそうに微睡む亜優さんの顔をそっと撫でた。

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