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番外編 会長の命令は絶対

「玲士と幸せになってほしい」 日本語のあとに中国語で話し掛ける紗智さん。亜優さんは紗智さんの指をパクッと咥えるとぶんぶんと首を横に振った。 「那和、通訳して」 「禁句だって?じゃあ聞くけどいつまで逃げる気?バーバも遼成さんも亜優を幸せに出来る男は玲士しかいないって言ってるでしょう。紗智はそう言ってる」 亜優さんは今にも泣きそうな顔になった。 「決して亜優が邪魔だから結婚しろとは言ってないのよ。婚期を逃すなって言ってるのよ。玲士と結婚しても今まで通りなにも変わらないわ。玲士はお婿さんに来てくれるんだよ。お兄ちゃんたちや小さい弟や妹たちとこれからもずっと一緒よ」 お姉ちゃんがそこで言葉を止めると、 「あら、七海じゃないの。おいでーー!」 柱に隠れてこちらの様子をじっと見つめる七海さんの存在に気付くと、手を大きく左右に振った。 「根岸さんに顔を出したらどうだって言われたけど、お呼びじゃないよね?」 「そんな訳ないじゃん」 「姐さん会も兼ねているから遠慮せずおいで」 「やっぱりいいです」 七海さんは首を横に振ると部屋に戻ろうとした。 「会長の命令は絶対でしょう?さぁ、遠慮せず座って」 チカちゃんが七海さんの腕を引っ張って連れてくると敷布団の上に座らせた。

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