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番外編 キスのプレゼント

陽葵を抱っこしてお姉ちゃんたちを見送るために僕は玄関にいた。 「ひまちゃん行ってくるね」 地竜さんはにっこりと微笑むと陽葵の頬っぺをつんつんとしてくれた。 「腰はもう大丈夫なんですか?」 「完全復活までとはいかないが大丈夫だ。心配をしてくれてありがとう。未知、行ってきます」 「行ってらっしゃい」 「なにか忘れてないか?」 「え?」 「だから、その………」 地竜さんが何か言いたげそうな顔でもじもじしていた。 「未知は相変わらず鈍感ね」 お姉ちゃんがくすっと笑った。 「地竜はね行ってらっしゃいのキスがほしいのよ」 「え?」 どきっとした。 「ハードルが高すぎるのよ。地竜、潔く諦めなさい」 「きみからのキスのプレゼントを毎日もらえる卯月が羨ましいよ。どうせ俺なんか……」 「へそを曲げないの」 「曲げてない」 痛いところをつかれ、ぷいっとそっぽを向く地竜さん。 彼はお姉ちゃんを迎えに来た本部の人たちと立ち話をしていた。 頬っぺに軽くキスするだけなら、遥琉さん許してくれるかな?怒らないかな? 「お姉ちゃん、陽葵を落とすと大変だから抱っこしてもらってもいいですか?」 「いいわよ。ひまちゃんおいで」 お姉ちゃんの腕のなかに陽葵を移そうとしたら、 「隙あり!」 地竜さんの声がして。 気が付いたときには頬っぺにチュッと軽くキスをされていた。

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