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番外編 会いに来てくれてありがとう
「朝焼けが綺麗だから海を見に行かないか?たまには家族で出掛けるのもいいだろうって日付が変わると同時に言われたんだ。優真を起こさないように抱っこして車に乗ったまでは記憶があるんだけど、起きたら目の前に海じゃなくて、橘がいるんだもの。びっくりし過ぎて腰が抜けるかと思った」
「寝たままの心を車から下ろして、ここに運んでくれたのは青空だ。ぎょっとしたよ。未知たちが寝ている部屋の前に誰かいると思ったら、青空が立ったまま寝ているんだぞ。心臓が止まるかと思った」
心さんとひろお兄ちゃんが安堵のため息を漏らした。
「未知の寝顔を覗き見しようとしたのか?」
「な訳ないだろう。兄貴と地竜と一緒にするな」
「へぇ~~。あとでじっくりと言い訳を聞いてやる。それよりも裕貴、いまどんな状況か分かっているのか?よりによってなんでこんなときになんで来たんだ?」
彼が声を荒げた。
「遼から聞いているからどんな状況か把握はしている。家族を危険な目に合わせる訳にはいかない。でも未知にはどうしても会いたい。悩みに悩んだ。俺は自他ともに認めるシスコンだからな。やっぱり未知に会いたい気持ちが勝った。だから、遼と蒼生に行かせてくれと頼み込んだ。明日には大人しく帰るから追い出さないでくれ」
ひろお兄ちゃんが彼に頭を下げた。
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