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番外編お姉ちゃんに無事に会えますように

「ママ、ゆうくんいたよーー!」 一太が優真くんを抱っこして戻ってきた。 「びっくりしちゃった。ゆうくんもだよね?」 うん、と頷く優真くん。寝起きとは思えないくらいニコニコしていた。 「二人とも早起きだな」 右手にマグカップ、左手にスマホを持った龍成さんが顔を出した。 「橘、そう睨むな。行儀が悪い。子どもたちが真似をするってだろう。分かってるよ。だからこうして座っただろう。マイスイートハニーにモーニングメールくらいさせてくれ」 きりりと表情を引き締めて、一文字ずつ文字を打つ龍成さん。 「ハートマークがいっぱいだね」 たまたま目に入ったのか一太が漏らすと、 「光希ママを愛しているからな。一太も大人になれば分かるよ」 龍成さんが柔らかく微笑んだ。 八時に警察病院に安置されている遺体と対面する。地竜さんからメールが届いた。どうか無事でいて欲しい。 お姉ちゃんとあお兄ちゃん。凪くんと碧人くんが無事に会えますように。 僕には祈ることしか出来ないのが歯痒い。

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