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番外編 一太はモテモテ、みんなのお兄ちゃん

「一太は相変わらずモテモテだ」 「休みとなるとみんなでお兄ちゃんの取り合いだ。喧嘩して泣いて、仲直りして笑って。焼きもちを妬いて駄々をこねて。大騒ぎだ。一太は優しいからな。めったに怒らないからみんなお兄ちゃん、お兄ちゃんってひっつきくっつき虫だ」 「兄さんはその間に未知にベッタリ甘えるでしょう?」 「それがな。恋敵《ライバル》が多くてな、なかなか甘えられないんだ」 「そうなんだ」 クスリと笑う心さん。 はじめひろお兄ちゃんと心さんによそよそしかった太惺と心望。笑いもせず、じっと顔を見たりしてかなり警戒していたけど、十分も過ぎると、自分からひろお兄ちゃんと心さんの膝の上にちょこんと座り、ニコニコの笑顔を振り撒いていた。あまりの可愛さにひろお兄ちゃんも心さんもメロメロになっていた。 てっきり優真くんが、パパとママを太惺と心望に取られたって焼きもちを妬いて大騒ぎするかと思ったら、 「ゆうくんもおにいちゃんだもん。パパとママをかしてあげる。いいよおすわりしてて」 拍子抜けするくらいあっさりと言うと、「まって!」一太と奏音くんのところにバタバタと走っていった。

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