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番外編 待てが出来る男だ
「オヤジ、一つ気になることがあるんだが……げ、なんでお前がここにいるんだ!」
開口一番驚いたような声をあげたのは鞠家さんだった。
「いて悪いか?」
「姐さんはただでさえ睡眠不足なのに、オヤジと地竜と千里のお陰でここ二日ほとんど寝ていないんだ。もし姐さんがぶっ倒れたら弓削に半殺しにされる」
「俺は地竜と千里と違って待てが出来る男だ。案ずるな。ほとほどに我慢するから」
「日本語おかしくないか?」
「そうか?気のせいだろう」
背中に視線を感じ振り返るとひろお兄ちゃんと視線が合った。
「なんだ、構ってほしいのか?それならそうと言ってくれればいいのに」
ひろお兄ちゃんが太惺を鞠家さんに渡し、満面の笑みを浮かべながら畳の上を這ってきた。
何をするかと思ったら、キョロキョロとあたりを見回し彼がこっちを見ていないことを確認するとごろんと僕の膝を枕代わりにして横になった。
「言ってる先から何してんだが……心に焼きもちを妬かれても知らないぞ」
これには鞠家さんも開いた口が塞がらなかったみたいだった。
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