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番外編 ハルちゃんはままたんっ子
「うん、そうだね」
「あとね、パパね、ママにひっつきくっつきむしなんだよ。ハルちゃんたちにはママはいそがしいんだから、ママっていかないで、じぶんのことはじぶんでしなさいっていってるのに。それとまだあるんだよ」
「え?まだあるの?」
「うん。あとこれくらい」
両手を大きく広げる遥香。
口を尖らせ、ここぞとばかりに心さんに彼のことを報告した。
「見ないうちに口が達者になったな」
「橘が二人いるみたいで、肩身が狭い」
「仕方がないよ。ハルちゃんはままたんっ子だもの」
心さんが苦笑いを浮かべた。
そこへ「おはよう」とめぐみちゃんと幸ちゃんたちが起きてきた。
「だれだっけ?」
「ひろおじちゃんだよ」
「あ、そうだった。みゆちゃんわすれちゃった」
えへっと照れながら笑う幸ちゃん。
「元気そうだな」
「うづきさんとみちさん。ゆかりさんとわたらいさん。たちばなさんとゆずはらさん。あとみんなが私たちに優しくしてくれるから」
「そうか。めぐみ、お母さんの具合は?」
「元気だよ。もうちょっとで退院できるって」
めぐみちゃんが寂しそうな表情を一瞬だけ見せた。
「どうした?」
「ママが退院したら、もうここにいれないから、だから……その……」
めぐみちゃん がぎゅっと唇を噛み締めた。
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