2726 / 3282
番外編 緑竜の死
「喉に小骨が引っ掛かってる。そんな感じだ。緑竜は三つの顔を持つ男だ。こんな呆気ない死に方をするのがどうも腑に落ちなくてな。未知、遥琉が戻ってくる前に撮影会をするぞ」
「へ?」
「へ?じゃない。遥琉がいたら焼きもちを妬いて暴走するに決まっている。譲治、ありがとう」
譲治さんが折りたたみ椅子を二脚運んできてくれた。
「心と並んで座っているだけでいい。向こうから集まってくるから」
意味がいまいち分からなかったけど、言われた通り椅子に腰を下ろした。
ひろお兄ちゃんがカメラに切り替えてスマホを構えると、呼んでいないのに子どもたちが真っ先に集まってきた。ぴかぴかの新しい靴を履いて手でバランスを取りながらふらふらとあんよする太惺と心望。
「たいくん、ここちゃん、ちゃんと前を見てね」
「譲治、たいくんとここちゃんが通るから道を開けて」
紗智さんと那和さんは両手を広げ、ヒヤヒヤしながら二人のあとをぴたりとついてきた。
「二人ともあんよが上手になったな」
甥っ子姪っ子の成長ぶりに目を細めるひろお兄ちゃん。
「よしはじめるぞ」
こうして賑やかに撮影会がはじまった。
ともだちにシェアしよう!