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番外編 子煩悩なひろお兄ちゃん
「野暮用か。遥琉も橘に物申すが出来るようになったのか。会わないうちに成長したな」
ひろお兄ちゃんがぷぷっとふきだした。
「感心している場合じゃありません」
「まぁ、そう怒るな」
「怒ってません。そもそも裕貴さんが……」
「なんで来たんだってだろう?タイミングが悪いってだろう?言われなくてもそのくらい分かっているよ」
太惺と心望が競うようにひろお兄ちゃんの膝の上に登りはじめた。
「可愛い妹と甥っ子姪っ子が待っているんだ。駄目と言われると逆にきたくなる。千里も龍もそうだ。来るなって言われても来ただろう」
太惺と心望がひろお兄ちゃんの顔で遊びはじめたものだからドキッとした。
「二人ともパパと地竜さんじゃないんだよ」
ひやひやしていたら、
「俺が怒るとでも思ったか?」
ひろお兄ちゃんが愉しげに笑うと、二人の体を支えながらごろんと後ろに倒れた。二人はひろお兄ちゃんのお腹の上にちょこんと座り、キャキャと黄色い歓声をあげて、お馬さんごっこをはじめた。
「あの裕貴さん………やっぱりいいです」
これにはさすがの橘さんも返す言葉が見付からなかった。
「裕貴さんのほうが子どもなんだから」
様子を見に来た心さんも本気で二人と遊ぶひろお兄ちゃんを見て苦笑いを浮かべていた。
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