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番外編 子煩悩なひろお兄ちゃん

「全国から親分衆が集まりますからね。駅裏にあるセレモニーホールを急遽借りることにしたみたいですよ。未知さんは子どもたちとここから動くなと、遥琉からの伝言です」 「そういう訳にはいきません。菱沼組で葬儀を執り行うなら尚更」 「譲治さんを見ててほしい。これは壱東さんからの伝言です。どこの誰とは言いませんが、譲治さんや達治さん兄弟をよそ者呼ばわりして快く思わない人たちもいます。それにお呼びじゃないのに楮山組と神政会の関係者が弔問に来るかも知れませんし」 「分かりました。譲治さんのことは任せて下さい。あの橘さん、ひろお兄ちゃんと龍成さんは葬儀が終われば真っ直ぐ駅に向かうんですよね?ここにはもう戻ってこないんですよね?」 「安心してください。戻ってきますよ。一太くんたちが二人を派手に見送ろうと、なにやら準備をしているみたいです。一太くんたちと指切りげんまんしてしまいましたからね。私の口からはこれ以上のことは言えません。針千本を飲むことになりますので。すみません」 「いいえ、大丈夫です」 慌てて首を横に振った。

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