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番外編 狼少年
「一央、何をぼぉーっとして突っ立ってんだ!」
「だって、その……」
あれほど高圧的な態度をとっていたのに。血を見るなり急にそわそわしはじめた。
「血が怖いくせに縣一家の組長をやっていたものだな」
「う、五月蝿い。あんたには関係ない!」
優輝くんとめぐみちゃんに目もくれず逃げようとした一央さんを通せんぼうしたのは蜂谷さんと青空さんだった。
「狼少年の話しをもう忘れたのか?」
「そんな話をした覚えはない。どけ」
喉から唸り声をあげる一央さん。
「所詮他人事だし、今まで口を挟まないでいたが、遼成に父親失格だと言われても仕方がないんじゃないか?いまだに遼成が好きで未練があるのは分かる。分かるが、お前には愛するべき大切な家族がいるんじゃないのか?」
心望をあやしながらひろお兄ちゃんが静かに口を開いた。
「別嬪の女房と、めんげえややこが三人もいるのに何が不満なんだ?言いたいことがあるんだろう?それならじっくりと聞いてやる。遥琉と信孝と俺。こんな豪華なメンバーが一堂に介すなど早々ないぞ。ありがたく思え」
ひろお兄ちゃんに凄まれ、一央さんは蛇に睨まれた蛙のようにすっかりおとなしくなってしまった。
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