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番外編優輝くんの将来の夢
「なじょした?」
「上澤先生、なんで?」
「なんでって。渡会と将棋を指しながらさしで呑んでいたら上澤先生を呼べって聞こえてきたから様子を見に来たんだ。優輝、大丈夫か?」
上澤先生が優輝くんに歩み寄った。
「酒臭いが我慢してくれ。何があった?」
「俺が説明する」
蜂谷さんが何があったか順を追って説明すると、
「めぐみと未知さんを守ったんだな。そうか。そうか。偉いぞ優輝。でもな、無茶はすんなよ。あーんって口を開けられるか?」
上澤先生が優輝くんの口の中を確認したり、手首に指をあてて脈を測ったりして他に怪我をしていないか診てくれた。
「優輝は大きくなったら何になんだ?」
「未知さんのたまよけです」
自信満々に即答する優輝くん。
予想もしていなかったまさかまさかの答えに僕も上澤先生も、その場にいた全員が驚いて一瞬固まった。
「上澤先生、優輝はね、ゆげさんとはちやさんと青空さんみたいに強くてカッコいい男になって未知さんを守るんだって」
「めぐみ何で言うかな。ないしょにしてくれってたのんだのに!」
優輝くんが顔を真っ赤にして頬っぺたを膨らませた。
「怒る元気があるならさすけねぇな。そうか、未知さんの弾よけになるのか。めんこい弟子が出来たと弓削が一番喜ぶな」
上澤先生が愉しそうにくくくと笑った。
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