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番外編一央さん

「未知さん大変よ!」 息を切らしながら紫さんが部屋に入ってきた。 「柚さんが一央を刺したって大騒ぎになっているわよ」 「嘘………」 一瞬目の前が真っ暗になった。 「ハサミを突き付け、柚さんにご執心の槇島の女になるか、子どもを道連れに一緒に死ぬか迫ったみたいなの」 「槇島さんって確か頭を撃たれて重体。依然として予断を許さない状態だって」 「槇島はぴんぴんしている。絶対安静なのに看護師を口説いたり、若いカミさんや何人もいるイロを病室に連れ込んだりと、やりたい放題だ。だから、地元の病院に転院が決まった。九鬼と楮山から柚の話しを色々と聞いていたんだと思う。槇島は昔縣一家の姐だったころの柚と何度か会っている。人妻好きの槇島のことだから、九鬼と楮山を虜にした高飛車なじゃじゃ馬を服従させて、泣かせたいと歪んだ欲望を抱くようになったんだと思う」 「あらあら覃と宋より槇島のほうがかなり変態じゃないの。覃と宋のほうがまだまともね」 「紫さんの仰る通りです」 事態は思ったよりも深刻だった。

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