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番外編 森崎さんが決意したこと
「どうした森崎。全然呑んでいないじゃないか」
彼がビールをコップに注ごうとしたら、
「卯月さん」
森崎さんが慌てて手で蓋をした。
「呑める口だろう?」
「金輪際一切呑まないと橘に誓いました」
「橘、どういうことだ?」
「付き合いとはいえ呑まなきゃいいのに。べろんべろんに酔っぱらって、久弥さんの寝込みを襲ったんですよ。久弥さんは昔のことを思いだして過呼吸の発作を起こしたんです。私は弓削さんから、自分がいない間弟を頼むよと言われていたので、遠慮なく雷を落としました」
真顔で湯飲みを持ち上げると、ずずっとお茶を啜る橘さん。
「それはいつのことだ?」
寝耳に水だった彼。僕もはじめて知った。
「二日前です。どっかの誰かさんも相手が好き過ぎてたまにじゃなく、しょっちゅう暴走しているでしょう。ですから頭ごなしにガミガミと怒鳴りませんでしたよ。森崎さんは久弥さんに謝罪し、改めてプロポーズしました」
「久弥はなんて?」
「兄ちゃんが帰ってくるまで待って欲しいって言われた。だから待つことにした」
「そうか。恋が実るように頑張れよ」
彼が森崎さんの肩をぽんぽんと軽く二回叩いた。
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