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番外編 譲治さんは役に立つ、痒いとこに手が届く

「ヤス、オヤジが呼んでるぞ!」 青空さんに耳元で大きな声を出され、びっくりするヤスさん。スマホがちゃぽんと味噌汁茶碗の中に落ちた。 「あぁ~~!」 慌てて取り出そうとしたら、ご飯茶碗を畳の上に落とすわ、隣に座っていた鞠家さんのコップを倒すわで悲惨なことになってしまった。 「未知、何か拭くもの」 「は、はい」 取りに行こうとしたら、 「持ってる」 すっと戸が開いてタオルと雑巾を手にした譲治さんが広間に入ってきた。 「廊下に待機させておいて正解でしたね」 「橘さんどういうことですか?」 「譲治さんを快く思っていない本部の幹部の皆さんに、譲治さんは痒いところに手が届くくらい、とても役に立つ。ということを見せけようかと思いましてね」 チラリと横目で見たのは、ひろお兄ちゃんの隣に座っていた弾よけの若い男性だった。 「千里に聞いたら古参の幹部のカバン持ちみたいですよ。千里の弾よけを自ら志願し、裕貴さんの弾よけをするからと残ったそうです。鍋山さんが相楽さんと今も連絡を取り合ってないか、譲治さんが兄貴と連絡を取り合ってないか疑っているんです」 「へぇ~~そうなんだ」 ひろお兄ちゃんもそのことをはじめて知ったみたいで隣の男をじろりと睨み付けた。

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