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番外編 大人も子どもも狭いところが大好き
「子どもってなんでこうも狭いところが好きなんだ。汗でびっしょりだ」
彼が手で太惺と心望の額の汗をそっと拭ってくれて。二人が蹴飛ばした毛布を掛け直してくれた。
「間違った。大人もなんでこうも狭いところが好きなんだ、だった」
彼が隣に敷かれた布団を横目でじろりと見た。
「兄さん、固いことを言わないの。だって生の未知がいるんだよ。一緒に寝たいと思うのは当然のことだと思うけど」
「は?駄目だろう」
一瞬考えたのち慌てて否定する彼。
「おとなしく亭主と子どもと一緒に寝ろ」
「嫌です。優真は一太と奏音に添い寝をしてもらって熟睡しているし、裕貴さんは心配しなくてもそのうちここに潜り込んでくる」
布団を捲り、ぽんぽんと軽く敷布団の上を叩いた。
「ちょっと酒臭いかも知れないけど、ごめんね」
「遥琉さんの代わりに呑んでもらって、ひろお兄ちゃんには感謝しています」
「それ裕貴さんが聞いたら泣いて喜ぶよ。未知、大好き」
心さんがぎゅっとしがみついてきた。
「あぁ~~!テメェー!」
「兄さん、心は広く持たないと」
「は?」
彼にどんなに睨まれようが怒られようが心さんは余裕綽々だった。
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